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2007/08/31

The Sugarland Express

Thesugarlandexpress

 何故かここ数日スティーブン・スピルバーグの初期の監督作品を続けて観た。

 71年のテレビドラマ「刑事コロンボ/構想の死角」、71年のテレビドラマ「激突!」、75年の「ジョーズ」、77年の「未知との遭遇」、82年の「E.T」。
 そして昨日は74年の「続・激突! カージャック(原題:The Sugarland Express)」→amazon.co.jpを観た。スピルバーグの監督作品の最初の区切りが79年のコメディ「1941」だと思っているのだけど、DVD化されてないのかレンタル屋にないのでこれは当分観れそうにない。ということで一区切り。

 僕がスピルバーグの映画で特に好きなのが「続・激突! カージャック」。サスペリア2と並ぶとんでもない邦題がついているのが映画の価値を思いっきり下げてるようで嫌なので「ザ・シュガーランド・エクスプレス」にしようよ。
 「ザ・シュガーランド・エクスプレス」を観たのは何年ぶりだろう。とにかく扱いが地味すぎてかなり昔にTVで放送されたもののレンタル屋でもとうとう見かけなかった。僕がTVでこれを観たのはスピルバーグの映画だからではなくて主役がまだ20代のゴールディ・ホーンだったからなんだけど、それが思いのほか感動してしまった。その後スピルバーグの劇場映画デビューだと知った。

 養育権を剥奪された軽犯罪者歴夫婦が、子供を取り戻すためにパトカーをカージャックし巡査を一人人質にシュガーランドを目指すという(実際に起きた事件をベースにしている)今のスピルバーグの規模の大きいストーリーとは比較にならないくらいの小さなストーリーで、今時の映画に慣れた人には随分のんびりした内容に思えるかもしれない。しかも最初からカージャックが成功することは期待できないノリ。
 だけど僕にとっては何度も繰り返して観賞できるエッセンスにあふれていて、いささか脳の足りない夫が考える妻の幸せを目指して穏やかな悲劇のエンディングを迎えるまで目が放せない。久しぶりに見たわけだけど前回以上に多くのシーンに唸っていた。

 映像が素晴らしい。撮影監督はヴィルモス・スィグモンド。
 70年代のスィグモンドが撮影監督をしていれば映画はほぼ間違いなく傑作だろう。僕の好きな70年代の映画、ロバート・アルトマンのハードボイルド「ロング・グッドバイ」、ジェリ-・シャッツバ-グのニューシネマ「スケアクロウ」、ブライアン・デ・パルマのサスペンス「愛のメモリー」、スピルバーグのSF大作「未知との遭遇」、マーティン・スコセッシによるザ・バンドのドキュメンタリー「ラスト・ワルツ」、マイケル・チミノのベトナム映画「ディア・ハンター」はスィグモンド。その傑作たちの中でも「ザ・シュガーランド・エクスプレス」の絵は特に素晴らしいと思う。

 ちょっと映画漬け。

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2007/08/28

Ratatouille

 PIXERのアニメーション映画「レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)」を観にいった。最近の映画館はトイレもションベン臭くないしイスも柔らかいし、なんか凄いな。館内に柱が立ちまくった木造の映画館で「八甲田山」を観にいった時とはえらい違い。

 あいかわらずPIXERは冴えまくり。フランスの「王と鳥」でも感じたけど従来のディズニーのなどのように子供に媚びてないというか子供を馬鹿にしてないというか子供用大人用の境界を無理に作りこまずに映画の質にこだわって作ってるところがPIXERの良いところだな。テーマが地味なんで最初はどうかと思ったけど「モンスターズ・インク」以来の感動があった。
 シェフになる夢を持つネズミ(レミー)が今は亡き天才料理人グストーの霊(幻影?)に導かれパリのレストラン「グストー」にたどり着く。そこで出会った料理の苦手な見習いシェフのリングイニと起こす奇跡を描いた作品。パリの風景がまたパリらしい。コレットっていう女性がバイクにまたがる姿やセーヌ川のほとりや。うちの息子4才もそこがルイ・マルの「地下鉄のザジ」と同じ舞台だってすぐ気がついて喜んだ。

 でも最後はアーネスト・ボーグナインが強烈なパニック映画「ウィラード(ウイラード)」並の大量のネズミが厨房を走りまわるもんだからネズミが苦手な人はダメかもね。PIXERということでリアルだし。

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2007/08/24

Aerial Pandemonium Ballet

Aerial_pandemonium_ballet

 航海カヌーとかなんとかもあって最近はすっかり音楽を楽しむ生活から遠ざかっていた。だから最近は初心に帰ってというか、ガキの頃に作曲などをして遊んでいた時によく聴いていた音楽をピックアップして聴いている。

 「ハリー・ニルソンのデビュー40周年記念でRCAイヤーズ 紙ジャケット・コレクションが発売された」というニュースを見てムショーにニルソンの初期の作品を聴きたくなった。
 でも我が家にはニルソンのアルバムはアナログ盤しかないし、この紙ジャケものを揃え始めるのはちょっと金がかかって危険なので、初期の「パンディモニアム・シャドウ・ショウ Pandemonium Shadow Show(67年)」→amazon.co.jpと「空中バレー Aerial Ballet(68年)」→amazon.co.jpと「ニルソンの詩と青春 Aerial Pandemonium Ballet(71年)」→amazon.co.jpの3枚のアルバムを2枚のCDに収めた(たぶんちょっと音質は悪い)輸入版CD「Pandemonium Shadow Show,Aerial Ballet and Aerial Pandemonium Ballet」のユーズドを購入した。

 このCDに含まれる「パンディモニアム・シャドウ・ショウ」と「空中バレー」はいわずと知れたニルソン第1期の名盤で、ザ・ビートルズ、ブライアン・ウィルソン(ザ・ビーチボーイズ)、ニルソンの三つ巴の才能でポピュラー音楽の世界をガラリと変えてしまった、その時代を代表するアルバムだと思う。もちろんその中でもニルソンはかなり地味な存在だけど、何かを作りたくなった時に僕が一番聴きたくなるのはニルソン。

 そしてそんなニルソンのアルバムの中で何故か我が家で一番よくまわってるのが、CDの2枚目に収められた「ニルソンの詩と青春」。「パンディモニアム」と「空中」からの代表的なナンバーを集めたアルバムだから他のアルバムに比べて注目度は著しく低いけど、とっても大好きなアルバムなのである。
 一番の理由は初めてニルソンを聴いたのがこのアルバムだったというわけでその時の衝撃が凄すぎたわけなんだけど、このアルバム、ただ2枚のアルバムから集めただけじゃなくて新しいアルバムとして完璧なリワークを行っていた。1曲1曲だけなら曲をスローダウンしたり新しいボーカルに差し替えたりリミックスしたりトラックを引いたり足したりしてるだけなんだけど、アルバムとしてのトータル性はとても高く元の2枚よりもキリッとしている。
 (とかなんとか言いながら、オリジナルを聴いてそれぞれの1曲目テン・リトル・インディアンとダディズ・ソングが流れはじめると、やっぱり凄いワと思ってしまうのだけど)

 そういうわけでハリー・ニルソンを聴きながら、ギターを膝において夕飯を食ってた頃が蘇ってきてちょっといい気分なのでス。もっと音楽を。

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2007/08/22

ローコンテクストはつらいよ

 何処だったかもう忘れちゃったけど、日本人が作るプレゼン資料が欧米では伝わらないっていうblog記事があった。いわゆるローコンテクスト/ハイコンテクストの話。
 グローバル化が顕著な欧米は暗黙知の共有が少なくロジックの明瞭性が求められるローコンテクスト社会なので、日本人からすると分かりきった説明がテンコ盛りの文字ばかりのやぼったいプレゼン資料になる云々。(昔のアップルコンピュータの素晴らしい開発マニュアルのように)
 日本人社会は暗黙知の共有が多いハイコンテクスト社会なのでロジカルな説明などこれっぽっちの欠片もないかわりに分かりやすい丁寧な絵やグラフがテンコ盛りのプレゼン資料になる云々。で結局これが海外では全然伝わらないという・・・度々耳にする日本人が海外で苦しむ話ではあるけど、もちろん普段から外国人にプレゼンなんかしない僕にはまったく関係無い話でもある。

 といいながらも別のサイトにあったハイコンテクスト依存度チェックをやってみたところ見事に僕は超ローコンテクスト人間だった。こういうのは以前ハードボイルド度チェックで「あなたは少々度の過ぎたハードボイルド者=フィリップ・マーロウ タイプ」と診断されて以来の度チェック。ということで本来は日本では生きていけないタイプなんだろうけど如何せん日本語以外は喋ることが出来ないです。

 そんなチェックをしたものだから色々思い当たることが出てきた。「おまえみたいな変わった奴に会ったのはオレの人生で生まれてこのかた初めてだ」、この場合の変わってるは「おまえのことが理解不能」ということだろう-なんて言われたのも、会話を遡って考えてみると暗黙知の共有がないことが大きかったのだろうと思うし、久々に同窓会であった仲良しだったはずのA君とビリー・ジョエルのシングル「オネスティ」の話以外はまったく会話が弾まなかったのもそんなことだろうし、「説明はいいから結果だけ言えばいい」、この場合「プロセスなんてもんは日本の文化にはない」ということだろう-なんてよくいわれるのもそんなことだろう。ばあちゃんに「お前は大人の前で屁理屈ばっかりコイテル!」、この場合「日本では目上の人間に理屈を言ってはいけない。コイテル=喋るの下品な言葉」ということだろう-と子供の頃よく言われたのもそうだろう。他にもいっぱいあるぞ。
 そういうわけでローコンテクスト人間は日本社会では辛い。・・・冗談っす。

 なんかblogのネタないかな。

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2007/08/16

お盆休みと初めての漫画喫茶

 2つの墓参りを早々に済ませるとあまりの暑さに外出する気にもなれず(計画では毎日チャリを漕ぐ予定だった)、お盆中はPCの電源も入れずにほとんどの時間を家でダラダラしてました。

 家でやっていたことといえば、暑さで脳がトロケソウでも楽しく読めそうな本-2002年に第5巻で読むのを止めていたレモニー・スニケット(ダニエル・ハンドラー)の子ども向け小説「世にも不幸なできごとシリーズ」を再開し、第6巻「まやかしエレベーター」、第7巻「鼻持ちならない村」、第8巻「敵意ある病院」、第9巻「肉食カーニバル」を読了(残り4巻)。
 そして暑さで脳がトロケソウでも楽しく鑑賞できそうな映画-スピルバーグの映画では大好きな4本の中の1本「ジョーズ」、(観たばかりだというのにさっそく今日のテレビで放映するらしい)デヴィッド・リーンの傑作「戦場にかける橋」、マイケル・クライトンらしい設定とロボットに成りきったユル・ブリンナーの演技が子供の頃から脳裏に焼きついていたSF映画「ウエストワールド」、レイチェル・ワイズが気が変になったかと思った「ナイロビの蜂」、英国らしいラブ・ストーリー「ノッティングヒルの恋人(!)」を鑑賞。
 あとはエアコンのある部屋でダラダラと横になってました。

 そんな中、外出といえば初めて漫画喫茶に行きました。今まで行かなかった理由はなかったのですが特に行く理由もなかったという感じでした。
 で「暑くて遠くへ行きたくないけど昼飯はどうしよう」と貧弱な近所のお食事マップを頭に描いたところ「近所の漫画喫茶の食事が結構美味い」という情報を思い出しついに漫画喫茶へ。そしてランチセットのカツ丼を注文。
 漫画喫茶っていうのはやはり喫茶というだけのことはあって、お客さんは一杯の飲み物で長い時間を静かに過ごすところです。外はこの暑さ-この日はかなり繁盛してました。
 初めての漫画喫茶ではありますが店に足りないと思ったものといえば、常連客がマスターと八ヶ岳やチャーリー・パーカーや漫画の歴史を語り合うためのカウンター席と探したけど見つからなかった-とりいかずよしの「トイレット博士」とコンタロウの「1・2のアッホ!!」と水木杏子・いがらしゆみこの「キャンディ・キャンディ」。あとは値段も良心的で満足でした。

 そういえばお盆休み中に観たTVといえば水木しげる先生の「総員玉砕せよ!」をベースにドラマ化したNHKの「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争」はよかったです。水木さん役の香川照之さんもよく特徴を捉えてたし「トペトロとの50年」や「ラバウル戦記」なども入れて3部作にでもなれば凄いんだけどな。

 だらけてインドアなお盆休みでした。

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2007/08/09

ミクロネシアの伝統航海術

Tninmicronesia

 2007ホクレア号日本航海プロジェクト記念シンポジウム後にタイミングよく「海工房(http://www.umikoubou.co.jp/)」さんからバハリ・シリーズのエクストラ版としてDVD「ミクロネシアの伝統航海術」が発売された。今回のホクレア航海を語る場で常に何か欠落しているものを感じるのはこのあたりだと思う。ハワイのナビゲーターたちがPwoの儀式を受けても獲物を持ち帰る社会的責任はありえない。とはいえハワイアンの社会的地位の向上を推進するためにいっそう頑張ってほしいものだ、なんて思ったりする。
 プルワット島でのPwoの儀式とマニー・シカウ氏の航海術の講義の映像が納められているがどちらの映像も貴重。

1. ポ~航海士の叙任儀式(The Pwo Ceremony ~A master navigator initiationrite in Micronesia~) 12分

 ミクロネシア連邦のプルワット環礁にて2006年6月に行われたPwoの儀式(この時は13人)の映像の超ダイジェスト。たしか門田修さんと内田正洋さんがプルワットに行った時(舟文化ルネッサンス・ネットワーク関係?)の映像を編集したもので雑誌ターザンでの内田さんの連載にもあった。

イントロ:映画「チェチェメニ号の冒険」の映像から
①Pwoの概要
②カヌー小屋での会場作り
③ラプイさんの紹介
④航海者の宇宙観
⑤女たちによる料理の準備
⑥女たちの歌
⑦儀式用のパンの実、タロイモの蒸し料理
 (ウニのトゲ、ハードコーラルの説明など含む)
⑧儀式の開始(女たちの歌にのってラプイさんがカヌー小屋に入る様子など)
⑨儀式用のパンの実に腰巻をかぶせる
⑩腕巻きの授与の儀式(Pwoの社会的責任について)
⑪男と女のかけ合い
⑫儀式用のパンの実から腰巻をはずす(クロタイラギの説明など含む)
⑬パンの実を分ける
⑭ココナツドリンクを飲む
⑮Pwoが終了しカヌーから飾りつけを外す

2. マニー・シカウ氏が語る航海術(Lecture on Navigation by Manny Sikau)27分

 7月11日の国立天文台での航海師マニー・シカウ氏による伝統航海術の講義の映像を収めたもの。おかげで映像の中には知った顔もあったり。

①マニー氏の紹介

 後藤明さんによるマニー氏の紹介

②方位を示す星

 32の星によるスターチャートについて(ホクレア号で度々クローズアップされる部分)以降、基本的に航海カヌーによる航海術は自己定位と天候予測のための複雑な技術の集合だと思う。

③天気を予測する星

 天候予測とカレンダーのための星について。たぶんここが一番波紋がありそうなところだが、ビッグバードなんて星座を見せられると星の高さで嵐を予測することが不思議でも何でもなく感じるところがまた不思議。嵐が起きる時は羽ばたくのだ。

④南十字星

 南十字星はカロリニアンにとってモンガラカワハギなのである。南十字星は5つの位置で天候を予測する。もちろん尾っぽを振ったりする。

⑤雲と月

 雲や月の表情による天候の予測。月例によって3つの時期に分け予測する。

⑥風と海流

 方位の星を使って航海している時に海流や風の強さでカヌーが流された場合の航海法。コースを外れる場合にどのように目指すものを補正していくか。

⑦エタック

 動く島。海で自分の位置を第3の島(視界外の島。参照島)を使って確認する。さりげなく距離を表すエタックに鳥のエタックなどと言っているが・・・

⑧ヘイワ

 カヌーの向きとうねりのあたる角度でどの星に従うかを決める。(これもホクレア号な方には御馴染み)

⑨プコフ

 島々の周囲にあると信じられている特有の鳥、海洋生物、流木、サンゴ礁など。ここでは現実的で理解しやすい鳥の習性、サンゴ礁、島の上にかかる雲の形状による天候予測などを説明しているが・・・

⑩悪霊と歌

 悪天候の雲を追い払う歌を披露。

 全体的に日本人でも分かりやすいモチーフを使って説明しているが、さらに1段掘り下げるとこれがまたかなり面白い。想像力と敏感さがどれだけ失われているかが分かるというもの。

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